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建設業界の有給休暇はどうなっている?経営者は正しい知識を持って労働環境の整備を
最終更新日:2024/10/30
働き方改革の必要性が叫ばれている建設業界ですが、全く予期しなかったコロナ禍の影響などもあり、思ったよりも自社の労働環境が整えられていないと悩む企業は少なくないのではないでしょうか。
とはいえ、労務に関することを改めて調べる時間がない。そんな人のために、今回は従業員にとって関心度の高い「有給休暇」について解説します。自社の労働環境の改善、働き方改革にお役立てください。
▼建設業の働き方改革について知りたい場合はこちらの記事もご覧ください
【2024年適用】建設業の働き方改革を実行するために必要なことは?具体的な4つの方法まで徹底解説
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建設業 有給休暇の取得状況
厚生労働省が公開している、「令和3年就労条件総合調査 結果の概況」によると、建設業界における有給休暇の労働者1人あたりの平均取得率は53.2%です。
全体平均は56.6%なのでやや下回っています。また、16種類に分類された業種の中では11番目となっており、トップは「電気・ガス・熱共有・水道業」で73.3%となっています。
(※取得率は「取得日数計 / 付与日数計✕100%」により算出された数値です)
有給休暇の基礎知識
ここでは有給休暇に関する基礎知識の概要をまとめていきます。
そもそも有給休暇とは、正式名称を「年次有給休暇」といい、一定期間勤続した労働者に対して与えられる賃金が減額しない休暇のことです。
厚生労働省のQ&Aでは“心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のこと”と位置づけた回答がされています。
参考:年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。|厚生労働省
参考:有給休暇(年次有給休暇)の取得について正しく運用できていますか? – ダシトレ
有給休暇の取得条件
有給休暇が付与される要件は2つです。
- 雇い入れ日から6ヶ月経過している
- その期間(6ヶ月間)の労働日の8割以上出勤している
これらの要件を満たした従業員には、10労働日の年次有給休暇を取得する権利が発生します。以降、1年ごとに(2)の要件を満たしていれば定められた休暇日数が付与されていきます。また、要件を満たしていれば正社員だけでなくパートタイム労働者も対象になります。
そして働き方改革の一環として、2019年4月に法改正があり有給休暇の取得義務化(年5日以上)が適用されました。この改正により、取得の“権利”だけでなく“義務”の要素が追加されたことで、労働者は今までよりも有給休暇が取得しやすくなったと言えます。
有給休暇の期限
有給休暇には付与された日から2年間取得できるとなっており、2年以内に使わなかった場合、その有給休暇は消滅します。ただ、有給休暇は1年6ヶ月ごとに新たな休暇が付与されるため、付与時期の異なる有給休暇が混在することになります。
混在している中、有給休暇を取得する場合、多くの人は「古いものから消化される」と思う人が大半だと考えられますが、労働基準法では規定されていないため会社が決めてもよいとされています。
有給休暇は買い取りができるケースもある
基本的に有休休暇の買取はNGですが、いくつかの条件下においては、有給休暇は買い取ることもできると言います。
▼買い取りができるケース
- 法定付与日数を超えて付与されている超過日数を買い取るとき
- 退職(または解雇等)により消滅した日数を買い取るとき
- 時効により消滅した日数を買い取るとき
引用:有給休暇の買取について知っていますか?現役社労士が先進的な有給休暇について解説します – ダシトレ
このように、有給休暇は取得の義務に関すること、消滅する時期や重複に関すること、そして買取りのことなど、さまざまな決まりごとがあります。有給休暇について正しく理解し、消化するタイミングやルールなど就業規則に明文化しておくことで、労働者との余計なトラブルを回避できるでしょう。
有給休暇を取得するために必要な対策
義務化が適用された有給休暇は、当然、適切な管理・運営をしないと違法となり罰せられてしまいます。どのような理由や状況であっても、会社として守らなければならないのです。
とはいえ、労働環境を見直さずに有給休暇を取らせるだけでは、業務が回らなくなったり、従業員の負担が増えたりするなど、有給休暇に求められる“心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇”にならない、ということになりかねません。
業務に支障をきたさず、そして従業員にも無理をさせずに適切な休暇を取得するには、現状の業務を効率化するなどの対策が必須です。ここではその対策について解説します。
業務効率化
今、建設業界にもっとも求められているのは業務効率化です。中でも注目されているのは、ITツールを活用した対策です。
例えば、ITツールを活用すれば情報共有がスムーズになり、建設業界で起こりがちな「最新図面の共有ができておらず出戻りが発生した」、「言った・言わないの水掛け論になり業務が停滞する」といったことが防げます。
他にも、黒板の電子化による利便性の向上や、日報の提出や書類・写真の共有などもクラウドサービスを活用することで効率化させるなど、導入前と比較すればさまざまな改善が可能です。労働環境の改善ができれば、無理なく仕事を早く終えることができるため、有給休暇を取得しても誰の負担にもなりません。
従業員のためにも有給休暇の取得を増やしたいと考えるのであれば、まずは社内の業務を見直して業務の効率化や改善を図っていくことが必要です。
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若手人材の確保・育成
長期的な観点から、若手人材の確保および育成にも取り組む必要があります。有給休暇の取得が増えるほど、休む人が増えるのでその分の人材が必要です。業務効率化とあわせて人手の確保にも取り組まなければ、無理のない有給休暇の取得が厳しくなるでしょう。
建設業界は度々、後継者不足が問題視されています。若手人材の確保は各企業が対策を考え、独自の取り組みを強化しなければ人手不足は進む一方です。長期的に見て会社の土台を安定させるためにも、長期的に働くことができる新しい担い手を探しましょう。
業務効率化は短期的な対策、若手人材の確保や育成は長期的な対策として捉え、両方の取り組みを行っていけば、余裕を持って有給休暇が取得できる環境ができるのではないでしょうか。
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まとめ
今回は建設業界にとっても大切な有給休暇について解説しました。
改めて、有給休暇に関する知識を整理しつつ、現状の職場環境を鑑みてどのような対策が必要なのか、考えるきっかけとなれば幸いです。とはいえ、各社の現場の状況を考えれば「わかっているけど理想通りにはいかない」というのが実情だと思われます。
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本記事でもご紹介した業務効率化を手助けできるツールなので、現場の負担を少なくさせることが可能です。自社の環境改善でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
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