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人手不足の建設現場。採用の前にIT・テクノロジーの力で環境改善を
最終更新日:2023/11/12
最近、工事を依頼したいと思っても、職人さんのスケジュールが埋まっていることが多いと感じませんか?
建設業界で働く職人の数は、平成9年(1997年)をピークに減少し続けています。そのため、現在働いている職人(技能労働者)に多くの仕事が集中しているという状況に陥っています。少ない職人かかる負担は大きく、さらに賃金が上がるわけではないという現状から離職する人も少なくありません。
また、職人の高齢化も問題視されており、若手の職人を育成するため各企業、若手人材の採用に注力しているものの、こちらも順調とは言えないのが現状です。
この状況を改善するためには、どのような対策を取る必要があるのでしょうか?今、注目されているのは、ITツールなどテクノロジーを活用した業務効率化です。既存の職人の負担を軽減し、職人の力を最大限活かすためにも効果的だと見られています。
本記事では、職人不足の背景もおさらいしながら、職人不足を解消するテクノロジーについても解説していきます。
もくじ
職人の数は減少。人手不足の解消に求められる賃上げ
国土交通省が発表した「建設業の働き方改革の現状と課題」によると、平成9年に455万人いた建設業界の職人(技能労働者)は、令和2年には318万人となり、およそ137万人減少していることが分かります。
また、帝国データバンクが2023年1月に行った人手不足に対する企業の動向調査によると、正社員が不足していると感じている企業は全体で51.7%、業種別だけで見ると建設業は65.6%となっており、職人に限らず全体的な人手不足が続いているのが現状です。
参考:「人手不足」建設業は65.6% 帝国データバンク調べ | 新建ハウジング
減少している主な理由は冒頭お伝えした通り、職人の離職と若い担い手が不足していることです。コロナウィルスの流行もあり、企業としては先行きが見えない状況から、職人一人ひとりの負担が増えたとしても、賃金を上げにくかったという見方もあります。前出した「建設業の働き方改革の現状と課題」でも取り上げられており、国土交通省は次の担い手を育成するためにも、技能労働者の賃金水準の引上げが必要だと主張しています。
職人の多くは会社員ではなく個人事業主のため、自分で営業しなければなりません。「働いた分だけ稼げる」と言った夢のある仕事でなければ、職人になろうという若い人も減ってしまいます。若者のなかには「収入よりもプライベートの充実」や「安定して長く続けられる職場」を選ぶ傾向が強まっている側面もあり、職人不足、人手不足の解消は一筋縄ではいかないのが現状だと言えるでしょう。
工事の需要は増加するも職人不足は変わらず
建設工事の数自体が減っているのか?というとそうではありません。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、リーマンショックで大きく落ち込んで以降、2015年から民間工事は増加し、公共工事も民間工事よりは低いですが増加しています。
2018年度の時点で実質建設工事は2割近く増加しているのに対して、建設業界は人手不足のため労働投入量が横ばいのまま。そのため、工事が増加しても供給制約となってしまうことが懸念されていました。
そんな建設業界の現状は2021年になっても変わらず、民間工事受注は2020年と比較しても20%以上増えているなか、建設技術社の有効求職者数は2021年5月以降は減少しており、「工事増加・人手不足」のままです。
参考:【2022年版】建設業界の需要と今後の動向とは?2021年との違いも紹介 | 転職サイト 現キャリ
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人手不足と労働環境の悪化で離職率が高まる悪循環
今後も、人口減少により、職人や現場監督の人数は減少していくことは明らかです。現在でも人手不足の状態となっている建設現場で、さらに人材の減少が続くと、膨大な量の工事を本当に少ない管理者でこなしていかなければならない状況に陥ってしまいます。
そうなると、無理な残業や休日出勤などを行って対応していくという労働環境の悪化に拍車がかかることになります。このような状況になってしまうと、建設業を志して新卒で業界に入った人も、業界全体の状況に見切りをつけて、他業界へと転職してしまうというような建設業を離れていく人材も出てくるでしょう。現在の人手不足が、さらなる人手不足を発生させるという悪循環に陥ってしまっていると言っても過言ではありません。
こうした悪循環が続いてしまうことで、「人手不足倒産」に陥ってしまった企業もあります。コロナ禍の影響、資材高騰などが続き、順調に成長していた企業でも倒産してしまうのです。
建設業界が人手不足になる3つの原因
建設業界が人手不足に陥っている原因は主に以下の3つだと考えられます。
- 担い手不足
- 古い慣習や働きにくいイメージが定着
- 経験年数が浅い間の給与
担い手不足は前述した通り、日本全体で人口減少が進み、若手が入ってくる数が減っているからです。主に現場を回しているのが50代以上という現場も少なくありません。
なかなか若手が入ってこない背景には、建設業界に強く根付いている「3K(きつい・危険・汚い)」のイメージや、ベテラン職人達の独特の慣習や雰囲気などがあると考えられます。余程強い志がない限り、あえてこうした業界で働くのではなく、例えば注目される最新のテクノロジーを活用した事業などに興味関心が向いてしまうもの。時代背景も重なり、採用活動をする際には企業側の努力が必要不可欠です。
また若い間は経験年数が浅い内は給与が少ないのは当然ですが、肉体労働がメインの仕事内容のきつさと報酬のギャップを感じやすくなってしまいがち。どの業界でも未経験の内は報酬が低いのは同じですが、特に職人は技術を習得しやりがいを感じられるようになるまでのハードルが高いと言えるかもしれません。
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中小建設業の若者離れ 本当の原因とは?防ぐために必要な対策も解説
採用の前に取り組むべき。IT・テクノロジーの力で現場改善
これまで解説してきた現状や原因を踏まえ、職人も現場監督も不足している建設業においては、業務効率化が必要不可欠だと言えます。重複した作業や分業、整理された図面管理などを誰が見ても一目でわかる、という状況で無駄のない作業を行う必要があるでしょう。
その一つの希望となるのが冒頭お伝えしたIT・テクノロジー技術の活用です。現場管理業務では、現場監督と職人との連携が非常に重要となります。仕事の連絡をチャットツールにより複数人で共有すれば、何本も電話をかけるのに時間を割かれるといったことはありません。ITツールを活用し、組織の情報共有がスムーズになれば多くのメリットが得られます。
▼建設業向けのITツールについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
現場管理(施工管理)アプリとは?メリット・デメリットと選び方のポイント
例えば、ITツールを活用する際に便利なのがクラウドストレージです。写真管理も職人や現場監督がそれぞれ撮影した作業写真を、即日にクラウドストレージにアップし共有すれば、写真整理の時間が削減されます。
また、現場監督から職人に渡さなければならない施工図面も、最新版を分かりやすく示した状態で、クラウドストレージに共有すれば、最新版でない施工図面をもとに施工を行ってしまったというような事態を防ぐことができます。こうした業務効率化を行えば、今までの現場管理業務がいかに非効率で手間がかかっていたかということが実感できるはずです。
クラウドストレージを活用すると、PCから資料や図面を即座に共有することができるので、別の現場に入っている職人ともオンタイムで作業をすることができます。まるで、同じオフィスで働いているような感覚になるでしょう。
こうしたクラウドの力は、現場に常駐する現場監督のみならず、現場を複数抱える現場監督や、掛け持ち現場の多い職人にとっても業務効率化に繋がり、多くの現場を回すことができるようになります。
人口減少などによる働き手の減少などの、人手不足の根本的な解消は難しいですが、少なくなってしまった現場の人数をカバーするようにクラウドの力を借りるというのも、現場を強くする方法とも言えます。
▼クラウドについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
ITツールの導入が初めてでも簡単に導入できる『SITE』
SITEは中小規模の現場でも選ばれている建設業に特化したITツールで、建設現場での情報共有に関する悩みを解決し、環境改善に役立ちます。
チャット機能・スケジュール機能・案件管理機能と、機能を厳選しているのでシンプルで使い勝手も良く、スマホアプリから現場でも簡単に情報共有が可能です。また運用コストも低いため、仮に初めて導入するという場合でもスムーズに導入できます。
【シンプル簡単】建設業のためのグループウェア「SITE(サイト)」の詳細
まとめ
建設業界の人手不足問題を解消するためには、闇雲に採用活動を始める前に既存の環境を見直してみてはいかがでしょう。社内の体制を改善した方が、若手の採用にもきっと役立ちます。ぜひ、ITツールやテクノロジーの力を活用し、業務効率化に取り組んでみてください。
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