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【2024年適用】建設業の働き方改革を実行するために必要なことは?具体的な4つの方法まで徹底解説
最終更新日:2023/11/12
2024年から働き方改革の労働時間上限規制が建設業にも適用されます。ですが「具体的に何をすればいいのか分かりにくい」という人もいるのではないでしょうか。
働き方改革は「現場管理が楽になるツールを導入する」など、会社組織に合った方法を見つけることで解決できます。本コラムでは建設現場に関係のある、働き方改革に関する情報を分かりやすくまとめ、具体的な4つの改善方法まで徹底解説します。
貴社の働き方改革の参考にお役立てください。
もくじ
建設業界が抱える課題。長時間労働の改善が必要
建設業界には働き方改革が必要だといえます。ですがそれは形式的なものではなく、現場が働きやすくなるためと会社が利益をあげるための業務改革のことです。
厚生労働省の資料によると、建設業の総日労働時間は165.4時間、出勤日数は20.3日と他の業種に比べても高いことがわかります。前年の毎月勤労統計調査では168.2時間と20.5日となっているので、やや改善されているもののまだ厳しい現場であることは変わりません。
長時間労働の改善、休日の確保が求められていますが問題を解決するためにはまず、「労働者の不足」や「職人の高齢化」を改善していく必要があるといえるでしょう。
参考:建設業界とは?平均年収や勤続年数、年代・役職ごとのボーナス金額まとめ!
働き方改革による時間外労働の規制の内容
労働基準法によって定められた労働時間には、元々1日8時間1週40時間の法定労働時間があり、毎週少なくとも1回(1日)の休日を与えることとされています。しかし、これまでは働く時間は完全に企業側に任せられており、特に罰則もないような状態でした。
それが働き方改革によって法改正がなされると、月45時間、年360時間を上限に「6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」という罰則が発生するようになります。月45時間以内と言うと、仮に月22日前後の出勤をしていたとして、1日およそ2時間の残業が限界です。
建設業は上限規制の適用に関して5年の猶予期間が設けられています。長時間労働や人手不足の課題は、業界特有の労働環境・性質から他業種と比較して難しいと判断されたためです。
国交省が定めた「建設業働き方改革加速化プログラム」と「工期設定のガイドライン」をおさえよう
建設業の現場環境を改善するため、国土交通省は「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定しています。これは週休2日の確保をはじめとした働き方改革を、さらに加速させるために作られたものです。
プログラムには以下の3つの項目があります。
1.長時間労働の是正に関する取組
週休2日制の導入を推進、発注者の特性を踏まえた工期設定など
2.給与・社会保険に関する取組
建設キャリアップシステムへの加入を推進、社会保険加入をミニマムスタンダードにするなど
3.生産性向上に関する取組
仕事の効率化(IT化など)、重層下請構造の改善など
働き方改革に必要な「長時間労働の改善」、「人材の確保」、「待遇改善」ができる仕組みを整えるため、必要な項目が記載されています。
例えば、3の生産性向上に書かれている「仕事の効率化」では、建設業許可等の手続き負担を軽減するため、申請手続きの電子化や施工品質向上のためIoTや新しいテクノロジーの技術を導入するなど具体的に書かれています。
働き方改革を推進する基本項目として、一通り目を通しておくと良いでしょう。
そして、もう一つおさえておきたいのが「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」です。上限適用に向けた基本的な考え方とともに、適用に向けた取り組み方について次の5つを述べています。
1. 適正な工期設定・施工時期の平準化
適切な工期を設定し、建設従事者の休日の確保から資材調達の準備期間や後片付けの期間、さらに天候の影響による作業不能日数などに考慮することが求められています。
2. 必要経費へのしわ寄せ防止の徹底
必要経費へのしわ寄せを防止するため、適切な見積りを行い適正な請負代金で契約を締結することが求められています。
3. 生産性向上
働き方改革加速化プログラムにも盛り込まれていた生産性向上。こちらでは部分的な取り組みではなく、建設生産プロセス全体の生産性向上を推進するように求めています。
4. 下請契約における取り組み
週休2日の確保を目指す際に、日給労働者への処遇に留意することや、労務費などの見直し効果が確実に行き渡るよう適切な賃金水準を確保することを求めています。
5. 適正な工期設定に向けた発注者支援の活用
建設コンサルタントなどの外部機関を活用することも求められています。
建設業の働き方改革に必要な2つの要素
国土交通省が掲げるプログラムは、働き方改革を加速させるために必要だと考えられる指標のようなものだといえます。しかし、実際の現場で具体的に何をすればいいかというのは、イメージしづらいのではないのでしょうか。
そこで「業務効率化」と「待遇改善」という2つ視点でもう少し掘り下げてみます。
業務効率化
主に業務効率化として取り組むことは、
・業務フローの見直し
・事務仕事の外注
・ITツールの導入
効率化する一番の目的は、重要な業務に専念できる環境を作ることだといえます。具体的な例としては、建設現場にとって必要不可欠な職人が現場仕事に専念できるようにするなどです。
建設現場にとって必要不可欠な職人が、現場仕事に専念できるようにするため、誰でもできるような仕事を効率化すると効果的です。
例えば、「紙の日報をやめてスマホから現場の写真とコメントを入力するだけで報告ができるようにする」、「現場の写真を自動で仕分け・整理してくれるアプリを使う」など、職人の専門的な知識や技術が必要ない業務を簡単にすると良いでしょう。
待遇改善
主に待遇改善として取り組むことは、
・給与体系の見直し
・福利厚生の充実
・多様な働き方の選択肢
給与面など人件費に関わる改革は、経営が厳しい状況など難しい側面もあります。そのような場合には社会保険とは別の法定外福利厚生サービスなどを利用するのも一つです。
法定外福利厚生サービスとは、企業が自由に選定し導入できるサービスです。住宅ローン補助や人間ドックの利用補助といったものや、自己啓発補助、あとは職場に快適な休憩スペースを作るなども含まれます。
福利厚生が充実するメリットとして、従業員の健康維持につながり、結果として生産性が向上するとも言われています。
参考:福利厚生充実のメリットとデメリット。デメリットを解消する導入方法 – 福利厚生のRELO総務人事タイムズ
また、多様な働き方の選択肢を増やすというのは、「テレワークやリモートワークを取り入れる」、「時短勤務や勤務時間の選択肢を増やす」などです。コロナ禍の影響もあり、毎日必ず8:00~17:00の勤務ができるわけではなくなりました。
労働者側の事情に配慮できる選択肢を用意しておかなければ、「この会社で働きたい」とは思ってもらえなくなり、ますます人手不足が進行してしまう恐れがあります。
各業界が変化に対応し柔軟な働き方を推奨しているため、建設業界も対応しなければならないと言えるでしょう。
建設業界で働き方改革を実行するための4つの方法
ここまでご紹介してきた話もふまえて、業務効率化と待遇改善を実現させるための具体的な案をご紹介します。以下の4つです。
・残業時間の削減
・人事評価制度の見直し
・テレワークの活用
・ITツールの導入
それぞれの方法についてより詳しく知りたい場合は、関連する記事もあるので併せてご活用ください。
残業時間の削減
残業時間の削減をするためには、まず原因を可視化しましょう。コツとしては細かく分類し具体的に時間がかかっている作業を抽出することです。そうすることで、効果的な改善ができるようになります。
▼もっと詳しく知りたい場合は以下の記事をご覧ください。
人事評価制度の見直し
人事評価制度の見直しは待遇改善につながるだけではなく、生産性の向上にもつながるとされています。良い待遇があることで従業員の士気もあがり、業績もよくなる傾向があるからです。さらに人材不足問題の対策にもなります。
▼もっと詳しく知りたい場合は以下の記事をご覧ください。
建設業の人材不足問題を解決するには?人事評価制度の見直しから始めよう
テレワークの活用
建設業においても、テレワークは環境改善の選択肢として効果的です。特別なITツールを導入せずとも、社内の取り組みやルールを設定するだけで改善できることもあります。例えばメーラーをスマートフォンと同期させ、事務所に帰らなくても社内のメールが確認できるようにするなどです。
ITツールの導入
ITツールがあれば、写真や図面の共有をしたり、レポート機能によって建設現場からの報告が楽になるなど、情報共有が円滑に進み、建設現場にいる人たちから、オフィス現場で働く従業員も効率良く仕事が進められるようになります。
▼情報共有が円滑になることで得られるメリットについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
情報共有とは?得られるメリット・原因と対策・具体的な方法など徹底解説
そして経営者も一つのシステムで情報を一元管理すれば、どこにいても情報を把握することができるので、適切な判断を助けてくれる心強いツールとなるでしょう。建設現場でよく使われるITツールは、現場管理アプリや施工管理アプリと呼ばれることが多いです。
▼現場管理アプリのメリットや選び方について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
建設業の働き方改革を進める際の注意点
働き方改革を進める際は、働き方改革を推進する側の一方通行にならないように気をつけてください。自社の従業員、関係する職人や協力会社、発注元など、影響がある人たちの状況を見て進めなければ逆効果になってしまうからです。
いきなり大きな改革をしようとせず、現状の環境を少しずつ良くしていきながら働きやすい環境を整え、自社の利益につながる改革を進めていきましょう。
建設業の働き方改革事例
実際に働き方改革の行った事例を要約してご紹介します。各事例についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
【事例1】 株式会社第一ヒューテック
東京都文京区にある株式会社第一ヒューテックは、2019年から本格的に働き方改革を始動し始めた企業です。そんな中、コロナが発生しソーシャルディスタンス対策と業務の効率化を狙って、IT技術を活用しペーパレス化や現場とネットワークカメラをつないでの現場確認などを推進しました。他にも、4週7休を達成したり、社員から評価の高いシフト勤務を導入するなど、一定の成果をあげています。
【事例2】 平和建設株式会社
創業130年以上の平和建設株式会社でも、働き方改革は進められています。専用タブレットを導入し工事の進捗記録や写真の管理などの業務を効率化。勤怠管理システムを導入し残業の抑制を実現しノー残業デーの実施も実現しています。また社員の働きがい向上にも取り組み、自社が取り組む働き方改革を継続したいという声が9割に達しています。
【事例3】 成友興業株式会社の事例
2014年から働き方改革に取り組んでいる成友興業株式会社は4週8休をほぼ達成しています。班体制を増やしタイトな工期にも対応。月2回は土曜日が休めるよう体制を見直しました。また加えて電子小黒板などIT技術も活用し、時間削減と生産性の向上に努めています。また、オンライン説明会にも積極的に取り組み、オンラインに関心の高い若手層の確保に向けた働きかけも行っています。
建設業の働き方改革まとめ
本記事では資料をもとに働き方改革のポイントをまとめ、具体的な改善案や注意点、事例などをご紹介しました。
現場目線の働き方改革で必要なことは「業務効率化」と「待遇改善」です。すぐに給与面などの待遇を改善することは難しいかもしれないので、どの企業でも取り組みやすい業務効率化から徐々に行っていくことが得策ではないでしょうか。
働く環境も人も、日々変化しています。企業の規模に関わらず多くの企業が環境改善に向けて取り組むことで、業界全体の課題が解決されるものだと考えます。
本記事の内容が少しでも現場改善のお役に立てば幸いです。
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